牛めしチェーン店に対する慰謝料請求事件
裁判年月日
東京地方裁判所平成27年12月8日判決
概要
原告が、被告店舗における従業員の牛丼の盛り付けについて意見を述べたところ、対応にあたった従業員及び被告相談窓口の対応に納得できず、訴えを起こした事案。
クレーム内容
被告店舗において提供された牛めしが、メニュー写真と異なり、隙間が目立つほど明らかに肉の量は少なく、盛り付けが不自然に傾いていて、一見すると既に一口食べたのではないかと思えた。
牛めしの作り直しをお願いしたのにも関わらず、店長は謝罪もせずに他の客の前で、計量器で牛めしを測ろうかと述べてきた。
その後、お客様相談室に電話をするが、担当者の対応が不誠実であった。
店側の対応
顧客が「この牛めし、おかしくない」との趣旨の発言をしたことにより、店長は量が少ないと指摘されたのだと考え、牛めしの重量を測ることを提案した。
またお客様相談室の担当者は、謝罪を繰り返したが、顧客が暴言を繰り返したため、これ以上の対応はできないと判断し、電話を切った。
裁判結果
侮辱及び名誉棄損を原因とする不法行為に基づく損害賠償請求は理由がないから、これを棄却した原判決は相当。
コメント
本事案のように、店舗従業員の対応が気に食わないとして企業に対して慰謝料等を請求する事例は少なくありません。
もっとも、従業員が悪意をもって侵害行為にでたような事案は別として、顧客が従業員の発言に対して憤慨したとしても、法的に慰謝料請求が認められるかは別問題です。
顧客が憤慨した場合の一次的な対応としては、不快な思いをさせたことについては誠意をもって謝罪するとしても、金銭的な要求をされた場合には一時対応者において即答せず、然るべき担当部署において法的責任の有無を慎重に検討して回答するべきです。